にいがた災害ボランティアネットワークの被災地支援報告

 東日本大震災を受け、にいがた災害ボランティアネットワークの李事務局長は、福島県内を中心に被災地での支援活動を行っています。以下に同氏からの現地レポートを掲載します。

■李氏からの現地レポート■

今回の派遣期間は4月7日から18日。新潟からの移動経路に当たる郡山市、田村市、二本松市の各災害ボランティアセンターを経由しながら、福島県災害ボランティアセンターのある福島市を目指す。

途中の各センターでは、地元の直接的な被災が比較的少なかったこともあり、電話によるニーズ(物資の仕分け:行政・避難所のお手伝い)が減少傾向とのこと。センターの中核的コーディネーターからは『そろそろセンターの閉鎖もしくはボランティア募集の中止も視野に』との声があった。そこで、ゆっくりと話をお聞きしながら『電話によるニーズが減少』したことは『被災者ニーズが無くなった』こととイコールではないこと。在宅で頑張っている方や避難所では、遠慮や周知不足などから、被災された方が声を出しにくい、もしくは、どう声を上げて良いのか分からない状況になっているのではないか?本当に被災された方お一人お一人の声を受け止められているのだろうか?とお話しすると、目が輝き始める。

たぶん(これは推測でしかないが)彼ら彼女たちは、普段はコミュニティソーシャルワークの実践者として地域にしっかりとコミットしているはずなのだ。それは災害時にもおなじであるのだが、目の前で展開する混乱と多忙の中でゆっくりと考える時間もとれないのが現実である。そんなときに、ちょっとした気づきと助言をおこなうことで『では、個別にニーズ調査をしてみよう』『そのためにはどんな方法論があるのか』『この時期に注視すべき視点はどんなものか』など、多くの質問が飛びだしてくる。

また、避難者の減少に伴い直接的な応援の人員の必要性は薄れてきているものの(…0ではない)、客観的な視点からの助言者の必要性は変わらないことを感じた。これから始まる復興の課程の中で、暗中模索が続くことは私達新潟の経験からも容易に理解できる。そんなとき外部から支え続けることも意味は大きいだろう。継続的な関わり方が求められる。

そして県本部へ着任。これまでの『現場対応』から『組織的な情報収集と発信』『先の展開をよんだ仕掛け』『長期化への備えと対策』といった、戦略的なフェーズへの移行を進める。これまでは人員不足や業務の優先度などから『分かってはいても手をつけられない』ことも多々あったが、やっと県本部としての体制整備が進むことになる。現地災害ボランティアセンターからの報告の仕組み、地域の担当者選定、情報の分析、広報媒体の開発などなどである。

その数日後、現地支援強化策として新地町へ常駐することに。ここは被害の大きさや地域性などもあり、震災後から役場1階ロビーにて町民たすけあいセンターとしてボランティア活動が行われていた。今後の住居の片付けや掃除、炊き出しや傾聴と言ったテーマ型の活動、さらには仮設住宅の引っ越しや復興期の支援などを想定したすけあいセンターと統合する形で災害ボランティアセンターを設置することに。公的な建物もつかえない状況で、町役場の駐車場にコンテナハウスを5棟設置し、テントを併用しながら仮ごしらえの『新地町災害ボランティアセンター』である。現在、町民や一部町外の関係者を中心にセンターの運営や、思い出の品探し、物資の仕分け家屋の片付けや荷物の移動など、ボランティア活動にたずさわって下さっている。今後は仮設住宅の完工に伴う諸活動も想定され、さらに体制強化の支援を行う予定だ。

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福島県は、本来ならある程度時系列上に並ぶはずの【緊急救援・避難】【復旧活動】【生活支援活動】が同時に行われるという、困難な状況にあります。報道が原子力発電所関連で埋まってしまい、そこに『人の暮らしがある』というということが見えにくくなってしまいがちです。過去に何度も大きな被災を経験した地域だからこそ、新潟にできることは多いはずです。

にいがた災害ボランティアネットワークでは、今後も福島県支援を継続して参ります。

数日程度、ボランティアセンタースタッフ業務でお手伝い頂ける方は【lee@ginzado.ne.jp】までご相談下さい。
※現時点では町外からのボランティア募集は行われておりません。
詳しくは下記をご参照下さい。

○新地町ホームページ
http://www.shinchi-town.jp/frame.asp?tm=20110422130344

○新地町災害ボランティアセンターブログ
http://ameblo.jp/shinchisvc

■李氏からの現地レポート終わり■